トレーニング
2021.07.07
ジムでも行いたい!運動前後×ストレッチの基礎知識
運動前後のストレッチ、してますか?
ハイパフォーマンスが期待される現役アスリートはもちろん、アマチュアアスリートやダイエット目的の方であっても体を動かす前やクールダウンの時にはぜひ取り組んでおきたいストレッチ。
今回は、運動効果をより効率的に高めるためのストレッチについて解説します。
他の人がちょっと気になるスポーツジムでもすぐにできるメニューもご紹介。ぜひチェックしてくださいね!
ストレッチが必要なのはなぜ?
運動前後にストレッチを行っておきたい理由は大きく2つです。
- 体の可動域を広げて柔軟性を高める
- 血行を良くし疲労回復につなげる
美しい姿勢の保持やリラクゼーションなどの効果もあるため、ストレッチそのものを運動の中心として行う方も多いようです。
今回は運動に付随したストレッチのメリットについて解説していきます。
体の可動域を広げて柔軟性を高める
体の柔軟性が低いと、思いがけず筋や筋肉を痛めてしまったり、転倒などで大きな怪我をしやすくなったりしてしまいます。
例えば野球の投手であれば、肩甲骨の可動域を広げることで体にとって無理な投球を避けることができ、故障を防止できます。
サッカー選手の場合は、股関節の柔軟性がスピードや切り込む角度のレベル向上に直結し、ドリブルでの突破力を高めます。
柔軟性が高まると代謝も上がる
体の柔軟性が代謝にも影響すること、ご存知でしたか?
体が硬く柔軟性を失っていると、関節を動かしにくくなり本来動かせる範囲でも稼働させにくくなってしまいます。
筋肉はポンプのように血液の流れを促す働きをしているため、筋肉を柔らかく動きやすくすれば血行改善と代謝も期待できるのです。
血行を良くし疲労回復につなげる
ご紹介したように、運動による柔軟性の向上は血行改善につながります。血の巡りが良くなると筋が発揮できる力も元に戻ります。
ストレッチを継続することで疲労が蓄積しにくくなり、運動後の疲労からも回復しやすくなるのです。
また、ストレッチ後は心身ともにリラックスしており、健康にいい影響を及ぼす「アルファ波」」が増加しています。これにより副交感神経が活発に活動してさらにリラックス効果が高まることから、睡眠の質も改善します。
最終目的は怪我予防とパフォーマンス向上
ストレッチの効果や大きなメリットについて2つご説明してきましたが、その根本はどちらも「怪我の予防をして疲れにくい体をつくり、運動のパフォーマンスを向上させること」につながります。
ストレッチは健康づくりの習慣として運動を続けていく人にも、仕事や趣味の一環として競技に取組み続ける人にも恩恵が大きな必須要素。面倒がらず、ていねいなストレッチを心がけましょう。
ストレッチは種類によって効果が違う
ストレッチは、「静的ストレッチ」と「動的ストレッチ」の大きく2種類に分かれます。
読んで字のごとく、静的ストレッチは反動をつけずにじっくり筋肉を伸ばすもの。動的ストレッチは動きながら反動をつけて行うものです。
静的ストレッチとは?
静的ストレッチはゆっくりと筋を伸ばすことで筋肉の緊張をやわらげるストレッチ。「スタティックストレッチ」とも呼ばれます。
- 筋肉の柔軟性を向上する
- 関節の可動域を広げる
- 副交感神経を刺激し、リラックスする
- 運動後のクールダウンにつなげる
深呼吸しながら行い、反動をつけずに筋肉を伸ばした状態を30秒から45秒ほどキープすることで、上のような効果が得られます。
動的ストレッチとは?
動的ストレッチは、反動動作やリズミカルな動きを活用して通常の可動域以上関節を動かすストレッチ。
ブラジル体操や野球の前田健太選手が行うマエケン体操が動的ストレッチの一部として有名。ピンとこない方でも、ラジオ体操を思い浮かべれば分かりやすいでしょう。
動的ストレッチは、そのアプローチの仕方によって2種類に分かれます。
バリスティックストレッチング
動的ストレッチのうち、反動を利用して筋を伸ばすものを「バリスティックストレッチング」と言います。
アキレス腱を伸ばすとき、グッグッと反動をつけて伸ばした記憶はありませんか? あの動きが「バリスティックストレッチング」に相当します。
一定以上身体を動かしてから行えば効果的ですが、反動のつけすぎが筋や腱の損傷を招いてしまうこともあり、近年の主流ではなくなっています。
ダイナミックストレッチング
拮抗する筋肉の収縮を促して対象の筋肉を伸ばすストレッチは「ダイナミックストレッチング」と呼ばれます。
バリスティックストレッチングのように反動を生かすのではなく、伸ばしたい筋肉と反対の作用をもつ筋肉を収縮させて対象の筋肉の柔軟性を高めることを目的としています。
柔軟にしたい部位を直接的に動かすものではありません。
また、実際の運動に近い動作でストレッチを行うことにより、筋同士の協調性を高めることも狙います。
ラジオ体操やブラジル体操、マエケン体操はこちらに当たります。
動的ストレッチの効果は
動的ストレッチをすることで得られる効果は以下の通りです。
- 運動の切り替えをスムーズにする
- 心拍数や体温を向上させる
- 全身の協調性を高めパフォーマンスを向上させる
- 緊張をやわらげる
動的ストレッチは体を運動に適した状態に持っていく効果が高いため、準備運動として取り入れられます。
上でご紹介した動的ストレッチの例は、どれも準備運動ですね。
トレーニングにストレッチを取り入れよう!
ここまでお読みいただいた通り、動的ストレッチは運動前の準備体操に、静的ストレッチは運動後のクールダウンに向いています。
運動前は動的ストレッチで運動に対する体のコンディションを整え、運動後は負荷がかかって硬く縮こまった筋肉を伸ばしてあげましょう。
ジムでトレーニング、ストレッチはどこで?
動的ストレッチはジムのフリースペースやフィットネススペースなど、器具が少なく人ともぶつかりにくいような場所を選びましょう。
体を大きく動かすメニューになるので、障害物が多い場所は避けたいですね。
動的ストレッチのメニューは?
まずは、簡単にできる動的ストレッチをいくつかご紹介します。
肩甲骨に効く動的ストレッチ
肩甲骨は肩回りだけでなく、上半身のしなやかな動きや正しい姿勢をキープするために重要な部位です。
運動前はもちろん、猫背や肩こり、頭痛の改善にも動的ストレッチが効果的ですよ!
- 両足を肩幅に広げて立ち、軽くひざを曲げる
- 両手を軽く肩に添える
- 背中や骨盤を曲げないよう気を付けながら、肩を大きく回す
なるべく大きく柔らかく曲げることがコツ。肘で円を描くように回しましょう。
腰~股関節に効く動的ストレッチ
股関節をやわらげると、複数の関節や筋肉を組み合わせた動きがよりダイナミックになります。
- 軽く走りながらボールをけるように足を前位に降り、体をひねる
上半身と下半身を同時に逆方向へとひねりましょう。さらに手も大きく振ると、ひねる勢いが増します。
背中と股関節の連動を意識し、股関節から足全体を上げることを意識しましょう。
ジムのように広いスペースでランニングを行うのが難しければ、その場でランニングのように足踏みをしながら。
周囲の人にぶつからない、迷惑をかけないように気を付けて!
股関節に効く動的ストレッチ
こちらは移動しながらではなく、その場で体を動かせるストレッチです。
- 脚を肩幅より大きく開いて立つ
- 片足を大きく真横に踏み出しながら深くしゃがむ
- 軸足の内ももをしっかり伸ばしながらもとに戻る
かかとや足裏はしっかり地面(床)につけて、浮かないように体を動かしましょう。
最強のストレッチ「ラジオ体操第一」
誰でもすぐに取り組めるおすすめしたい動的ストレッチは「ラジオ体操」です。
ラジオ体操は約3分の短いメニューながら、体全体をしっかり動かせる優れもの。
バランスがとれた運動ができるのにハード過ぎないため、老若男女を問わず運動慣れしていない人でも取り組めるのが嬉しいですね。
背筋のトレーニングにもなるので、毎日続けていると姿勢もしっかりしてくるはず!
静的ストレッチのメニューは?
続いて、運動で使った筋肉を良く伸ばしてリラックスするための静的ストレッチをご紹介します。
ポイントは反動をつけないこと、呼吸を止めないこと。
ゆっくりした動きで筋肉を引き伸ばし、リラックスを意識して深呼吸しながら行いましょう。
広い部位の筋肉をストレッチする
腹筋や広背筋を気持ちいいと感じる程度までほどよく伸ばします。
- よつんばいになる
- お腹を前の方に垂らしながら力を抜き、ももを下につける
- お腹を突き出し、腰をそらしてキープする
左右の肩甲骨を締めるように胸を張るとより効果的です。
- 床に膝をつき、かかとの上に座るように体制を下す
- 膝を広げ腰から前に倒れる
- 腕を伸ばした状態で胸を地面に近づける
- 目線を少し上げてあごから地面に近づけキープする
おでこよりあごが地面に近づくよう意識すれば、背中が丸まりにくくなりますよ。
お尻と腰のストレッチ
お尻や腰の柔軟性も全身を動かすのに不可欠です。
しっかりほぐしてあげることでパフォーマンスアップを目指しましょう。
- 仰向けになりひざを立てる
- 片足の足首を反対側の太ももにひっかける
- 立てている方の脚を両手で抱えて自分の方に引き寄せる
脚を組まずにひざを胸の方に引き寄せてもOK。上の流れでストレッチができそうなら、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
股関節のストレッチ
普段ハードな動きをしない場合、股関節周りの筋肉は悲鳴を上げているかもしれません。
ていねいなストレッチを心がけて。
- 床に座り、両足をしっかり開脚する
- そのままの姿勢で上体を前に倒す
- 気持ちよさを感じるくらい(30秒~45秒ほど)キープしたら元に戻る
- 背筋を伸ばして座り直す
- 脚の裏を合わせたあぐらの体制になる
- そのまま体を引き寄せ、上半身を前に倒す
手首や足首も、柔軟性の不足で故障を起こしやすい部位です。一通りの静的ストレッチが終わったら、左右しっかり回してクロージングしましょう。
運動前後にはストレッチをしっかり!
ジムのような人の目の付く場所で運動する時、準備運動が恥ずかしいといっておろそかにしがちな人をよく見かけます。
しかし、コンディションを運動モードに整えなかったことで怪我をしてしまったり、すぐにバテてジムを後にしたりするほうが問題ですよね。
全身を動かせるスペースを確保し、ていねいなストレッチをしてから運動に臨みましょう。