ジム利用に医療費控除が使える!3つの適用条件とは?

「最近、人間ドッグの結果もあまり良くないし、ジムにでも通おうかな・・」
「でも毎月高額の利用料を払ってまで通いたくないな・・」
健康のためにジムに通いたいけど、利用料が気になる、と思っている方はたくさんいるのではないでしょうか。

実は「ある条件を3つ」満たしていれば、スポーツジムの利用に医療費控除が適用され、お得に利用できるのをご存じでしたか?今回はその条件についてご紹介します。

そもそも「医療費控除」とは?

医療費控除とは、医療費を支払った場合に、その一部を所得税から控除できる制度のことです。医療費控除の対象となる費用の要件としては、

  • 納税者が、自分または生計を一にする親族のために支払った医療費であること
  • その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費であること

と定められています。詳しくは国税庁のページをご覧ください。

ジムの利用料が医療費控除になる理由

日本では、生活習慣病が死因の上位を占めており、私たちの健康を支え、守るためには生活習慣病を予防することが重要です。生活習慣病は、その名の通り生活習慣の乱れが発症につながるケースが多く、運動不足もその主要な要因であるといわれています。

このような背景のもと、国民の健康づくりを推進する上で適切な内容の施設を認定しその普及を図るため、厚生労働省によって「健康増進施設認定制度」が策定されました。

この制度によって、一定の条件下で指定運動療法施設で医師の処方に基づき運動療法を実施した場合、トレーニングジムの利用料が医療費控除の対象となると定められたのです。

参考:厚生労働省

ジムで医療費控除を受けるための3つの条件

ジムの施設利用に医療費控除を適用するためには、国の定めた次の条件を満たす必要があります。

  • 医師の処方箋をもらう
  • 国が指定したジムを利用する
  • 週1回以上、8週間以上通う

医師の処方箋をもらう

ジムの利用料を医療費として控除するためには、医師から処方箋をもらう必要があります。

医療費控除は基本的に何らかの疾患を抱える人しか受け取ることができません。高血圧症、高脂血症、虚血性心疾患、糖尿病などの疾病があり、医師の「運動療法処方箋」に基づいて運動を実施することが必須です。

そのため、生活習慣病ではなく、ボディメイクや健康維持のため自発的にジムを利用する場合は、医療費控除を受けられないので注意が必要です。

国が指定したジムを利用する

処方箋をもらっていればどのジムでも医療費控除が受けられるわけではありません。

厚生労働省が「健康増進施設認定制度」に基づき「運動型健康増進施設一覧」に登録しているジムを利用することで、医療費控除が受けられます。地域や店舗によって医療費控除が受けられるとは限らないため、厚生労働省に指定施設になっているジムをしっかり確認しておくことが肝心です。

詳しくはこちらをご覧ください。
認定施設一覧

週1回以上、8週間以上通う

最後に、ジムでの運動は週1回以上の頻度で、8週間以上継続して行わなくてはなりません。

あくまで生活習慣病の予防・改善がジムを利用する目的とされているため、適度な運動の習慣化が求められているということです。医療費控除を受ける場合は、定期的に継続して通いましょう。

医療費控除を申請する手順

それでは、実際にジム利用料の医療費控除を申請するまでの手順を紹介していきます。

ジムの利用を始めるまで

  1. まずはかかりつけの医師の相談し、運動療法を勧められたうえで運動療法処方箋を作成してもらい、受け取ります。
  2. それから、指定運藤療法施設で処方箋にもとづく運動療法、つまり施設利用を行います。

ジムの利用から、申請まで

  1. 利用が終わったら、ジムで領収書、実施証明書を受け取ります。
  2. 医師のもとで実施証明書の確認書をもらい、税務署で利用料金領収書と実施証明書を提出し、確定申告用紙にて所得税の申告を行います。
    確定申告は、2月16日から3月15日までの間に行います。

参考:https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/kenkou-undou/kenkou-zoushin-shisetsu.html

医療費控除を受けるために注意すること

  • 確定申告をする必要がある
  • 利用できるジムが限られている

確定申告をする必要がある

医療費控除は、1年間の間にかかった医療費が10万円※を超えた場合に、かかった医療費の一部が戻ってくる制度です。そのため、上記の三つの条件を満たしていても、確定申告を行わなければ医療費控除の申請をすることができません。忘れずに確定申告を行いましょう。
※総所得金額等が200慢円未満の場合は総所得の5%

利用できるジムが限られている

先ほども述べましたが、運動療法によって医療費控除が受けられる施設は、厚生労働省によって指定されたものでなければなりません。

せっかく医療機関で処方箋をもらっても、お近くに対象となっているジムがなければ医療費控除を受けることはできないため、十分に気を付けましょう。

医療費控除の対象となる金額はいくらまで?

では、ジム利用の医療費控除ではいくら会費がお得になるのでしょうか。

医療費控除は、次の計算式で求めることができます。

医療費控除の額=(1年間に支払った医療費の総額−保険金などで補填補填される金額)−10万円

月額1万5000円のスポーツジムに12ヶ月通った場合を想定して計算してみましょう。
医療費控除の額:(1万5000円×12ヶ月)−10万円= 8万円となり、所得が8万円減ります。

所得税率は所得によって異なりますが、仮に所得税率を7%とした場合、所得税は8万円×7%=5,600円減ります。また、住民税率は10%なので、住民税は8万円×10%=8,000円減ります。
つまり、合わせて13,600円節税でき、かなり会費がお得になる計算になります!

ジム利用を長く続けるコツ

ジムの医療費控除がお得になるとはいっても、週に1回以上の頻度で、8週間以上通い続けるのは大変ですよね。最後に、ジムに長く通い続けるためのコツをご紹介します。

  • 具体的な目標を決める
  • 仲間を作る
  • アクセスのいいジムに行く

具体的な目標を決める

なんとなくジムに通うのではなく、「来月までに体重を3キロ落とす」といった「具体的な目標」をたてることで、やるべきことが明確化します。やるべきことが明確にわかれば、それを達成するため必然的にジムに行くことになりますし、モチベーションも上がりやすいためおすすめです。

仲間を作る

何事も、1人で孤独に行うのはつらいもの。共有できる仲間がいることで、ジムに通い続けることも苦ではなくなります。理想は、一緒にジムへ通う仲間を作ることですが、難しければ途中経過をSNSなどに投稿し、知人と共有するだけでも、元気がもらえるでしょう。

アクセスのいいジムに行く

たとえ良いジムに通っていたとしても、行くのに1時間かかるとすれば通うのが億劫になってしまいます。特に働いている人は仕事帰りにトレーニングすることも多いはずですし、会社や駅から手軽にアクセスできる場所にあるジムを選ぶことで、行かない理由を取り除けますよ。

ジムでの医療費控除の利用現状と今後

魅力的なジムでの医療費控除ですが、実際のところ、現状では利用するハードルが高く、利用率も低いというのが現状です。

しかし、生活習慣病患者が増加し、生産年齢人口も低下し続けている昨今、健康寿命を延ばすための対策に国も乗り出しつつあります。

2022年4月には対象施設となる要件が緩和され、当時は200弱であった指定施設が現時点で100以上も増加しています。そのほかにも制度の改善案は議論されており、よりこの仕組みが利用しやすくなることが期待されています。

参考:https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/download_pdf/2018/201809020A.pdf

まとめ

この記事では、主にジムで医療費控除を受けるための3つの条件について解説しました。

ポイントは、

  • ジムでの医療費控除には医師の処方箋が必要
  • 国が指定するジムに通う必要がある
  • 一定の頻度で通い続ける必要がある

でした。ご自身が条件にあてはまるのであれば、ジムでの医療費控除制度を積極的に活用し、健康と節税を両立していきましょう!